【徹底考察】テスラの画面表示はなぜ「頼りない」のか? FSDの真の実力と2025年モデルYのポテンシャル

テスラ、特に最新の2025年モデル モデルY などに乗っているオーナーなら、誰もが一度はこう感じたことがあるはずです。
「ディスプレイに表示される周囲の車、動きがおかしくないか?」と。
隣のトラックが小刻みに震えていたり、対向車が突然消えたり、パイロンが荒ぶったり……。オートパイロットでは何もないところでブレーキを踏んだり。あのビジュアライゼーション(可視化映像)を見ていると、「こんな認識能力で、本当に自動運転なんてできるのか?」「このAIに命を預けるのは無理ゲーではないか?」と不安になるのは至極真っ当な感覚です。
しかし、結論から言えば、あの頼りない画面表示は「AIの本当の実力」ではありません。むしろ、現在の日本のテスラは「最強の肉体を持ちながら、まだ脳の一部しか使っていない」状態にあると言えます。
本記事では、なぜFSD(Full Self-Driving)の画面表示があんなにも不安定に見えるのか、そして日本とアメリカで決定的に異なる「AIの中身」、さらに人間を超越したハードウェアの「真の目」について、徹底的に解剖します。
目次
- 画面表示の「荒ぶり」=FSDの限界ではない理由
- 日本のテスラFSDが「怖い」と感じる根本原因
- 2025年モデルY(HW4)のハードウェアは「人間超え」
- 死角を補完する「オキュパンシー・ネットワーク」とは
- 結論:あなたのモデルYは「封印されしスーパーカー」
1. 画面表示の「荒ぶり」=FSDの限界ではない理由
まず理解すべきなのは、私たちが運転中に見ているセンターディスプレイの「ビジュアライゼーション」と、テスラの頭脳である「FSDコンピュータ」が認識している世界には、大きな乖離があるということです。
画面表示はAIの「余力」で行われているおまけ

テスラのFSDコンピュータ(特に最新のHW4/AI4)は、人間には不可能な速度で計算処理を行っています。360度のカメラ映像を毎秒数十フレームで解析し、ピクセル単位の深度(奥行き)や、物体の移動ベクトルを超高精度で計算しています。
しかし、コンピュータのリソース(処理能力)は有限です。テスラの設計思想において、リソースの配分は以下のようになっています。
- 99%のリソース: 「走る・止まる・曲がる」ための安全制御と空間認識
- 1%のリソース: 人間への画面表示(レンダリング)
つまり、あの画面表示は、余ったリソースで行われている「情報の要約版」であり、ただの「おまけ」に過ぎません。
画面上で車が消えたりチラついたりするのは、AIがその車を見失っているわけではなく、「今は画面描画にパワーを使うより、次のカーブの計算に全力を注ぐ」という判断を下した結果なのです。
これは例えるなら、「超一流のプロゲーマー(AI)の神プレイを、通信回線の悪い低画質なモニター(画面表示)で見ている」ような状態です。画面がカクついても、プレイヤー本人は滑らかに操作し続けています。
確率論のゆらぎ(フリッカー現象)
また、AIの世界は「0か1か」ではありません。AIは物体を確率で捉えています。「これは98%トラックだが、2%バスかもしれない」という状態で認識しています。
画面上のアイコンがトラックになったりバスになったりチラつく(フリッカーする)現象は、この「確率の境界線」でのAIの迷いがそのまま表示されているだけです。
ここで重要なのは、制御においてAIは「そこに『避けるべき巨大な物理的物体』がある」ことさえ認識していれば、それがトラックだろうがバスだろうが関係ないということです。FSDにとって重要なのは「衝突しないこと」であり、「正しくアイコンを表示すること」ではないのです。
2. 日本のテスラFSDが「怖い」と感じる根本原因
「それにしても、日本のテスラの自動運転(オートパイロット)は挙動がカクカクして怖い」
そう感じるのは、ハードウェアの問題ではなく、ソフトウェア(脳みそ)の問題です。実は、日本で現在稼働しているテスラと、北米で稼働しているテスラは、中身が全くの別物なのです。
ルールベース(v11以前)とEnd-to-End(v12)の決定的な差

現在、日本で配信されているソフトウェア(FSD Supervisedを含む)は、技術的な世代で言うと「v11」以前の古いアーキテクチャに基づいています。
これは「ルールベース(プログラムコード)」で動いています。「もし(If)白線があったら、それ(Then)に沿って走れ」という、人間が書いた命令文の集合体です。
- メリット: ルールが明確な状況では正確。
- デメリット: 「白線が消えかかっている」「複雑な工事現場」など、想定外の事態に弱い。
日本のテスラが、白線が途切れた瞬間に迷ったり、不自然な急ブレーキを踏んだりするのは、この「ルール通りにしか動けないロボット」だからです。
アメリカで起きている革命「End-to-End AI」

一方、アメリカで展開されている最新の「FSD v12」以降は、このルールベースを捨て、「End-to-End ニューラルネットワーク」へ移行しました。
これは、「ルール」ではなく「大量の人間が運転している動画」をAIに見せて学習させる方式です。「この映像の時、上手な人間はこうハンドルを切った」ということをAIが直感的に理解します。そのため、白線が消えていても周囲の車の流れに合わせてスムーズに走れます。
2025年後半以降、日本でもこの次世代AIのテストが本格化すると噂されています。これが解禁されれば、あなたのモデルYは「カクカクしたロボット」から「熟練ドライバー」へと覚醒することになります。
3. 2025年モデルY(HW4)のハードウェアは「人間超え」

「ソフトウェアが古いのはわかった。でも、カメラだけで本当に大丈夫なのか?」
この疑問に対しては、明確に「YES」と言えます。2025年モデルのモデルYに搭載されているハードウェアは、すでに人間の知覚能力を遥かに凌駕しています。
RyzenとFSDチップの完全分業
よく「Ryzen搭載だから処理が速い」と言われますが、これは画面操作(ナビやYouTube)の話です。テスラにはもう一つ、FSDコンピュータ(HW4 / AI4)という、運転だけを専門にする自社設計の怪物チップが搭載されています。
カメラからの膨大な映像データをリアルタイムで処理しても、計算リソースにはまだ余裕があります。「カメラとハードウェアは余裕で対応できる」という認識は、完全に正しいのです。
人間の目を超えるカメラ性能とダイナミックレンジ
最新のハードウェア4.0(HW4)のカメラは、人間の目よりも優秀です。
- 解像度と視野角: 従来よりも遠く、広くを見渡せます。
- ダイナミックレンジ(明暗差): 人間なら「西日が眩しくて信号が見えない(逆光)」という状況でも、HW4のカメラは白飛びせずに物体や色を識別できます。
4. 死角を補完する「オキュパンシー・ネットワーク」とは
テスラのAIには、「オキュパンシー・ネットワーク(Occupancy Network)」という、カメラで見えない部分を認識するSFのような技術が搭載されています。

「物体」ではなく「空間」を理解する
従来の自動運転は「これは車」「これは人」という物体検出が主流でした。しかしテスラのAIは、カメラ映像から「3Dのボクセル(ブロック)空間」を脳内で再構築します。「ここに何かが『占有(Occupy)』している」ということを、物体が何であるかに関わらず認識します。
「時間の記憶」による死角の消滅
人間は、隣の車線を走っていた車がトラックの陰に入って見えなくなっても、「あそこに車がいる」と分かります。これは「さっき見た」という記憶があるからです。
テスラのAIも同様に、時間の流れ(Time)を記憶しています。「2秒前にここに車がいた。あの速度なら、今はトラックの裏のこのあたりにいるはずだ」と推論します。
また、駐車時にバックする際、リアカメラの死角にポールがあっても、「さっき前進していた時に見えた」という記憶に基づき、見えない壁を認識して停止することができます。
これにより、カメラの死角や逆光があっても、AIは「見えない部分を脳内で補完」して安全な経路を生成できるのです。
結論:あなたのモデルYは「封印されしスーパーカー」

ここまでの内容をまとめます。
- ビジュアライゼーションの不具合は気にしなくていい: あれは人間を安心させるための「おまけ」であり、AIの本来の認識精度とは無関係です。
- 日本のソフトウェアは「発展途上」: 今はまだ古い「ルールベース」のため挙動不審に見えますが、ハードウェアの限界ではありません。
- ハードウェアは「最強」: 2025年モデルY MODEL3(HW4)は、人間を超える目と脳を持っています。
- 見えない部分も「見えている」: オキュパンシー・ネットワークにより、死角すらも記憶と推論でカバーしています。
結論として、「テスラのビジュアライゼーションを見ているとFSDは難しそう」というのは、ある意味で錯覚です。
あなたのガレージにあるその車は、すでに完全自動運転を完遂できるだけの「最強の肉体」を持っています。あとは、アメリカですでに実証されている「最強の精神(FSD v12ソフトウェア)」が日本に降臨するのを待つだけです。その時、今の「もどかしい挙動」は過去の笑い話になることでしょう。


コメント